Column

都立江戸川高校推薦入試小論文解説・令和5年度(2023年度)

都立高校別対策

2025.05.03

令和5年度(2023年度) 都立江戸川高校普通科 推薦入試作文 解説

2023年度(令和5年度)の江戸川高校の推薦入試では、「大学の入学式でほとんどの学生が黒や紺のスーツを着ている」という現象をもとに、若者の意識や社会の課題について考える作文が出題されました。

一見すると、「みんなが同じ格好をしている」だけの話のように思えるかもしれません。
しかし、これは「個性」や「自由な選択」「周囲への同調」といった、現代の若者や社会全体の在り方に深く関わるテーマでもあります。

この作文では、次のようなことを段階的に書く必要があります。

  • 黒一色の入学式がなぜ問題視されるのか(社会的な視点)
  • 自分が見聞きした別の具体例を挙げて、自分の意見を述べる(経験に基づいた考察)
  • その上で、これからの生活でどんな力をつけていきたいか(自己の成長の方向性)

つまり、「社会の現象」→「自分の考え」→「自分の将来」という流れで、思考を深めながら言葉にする力が問われる問題です。

この記事では、このテーマをどう読み解き、どんな構成で書けばよいかを、作文例とともにわかりやすく解説していきます。
社会を見る目、自分の考えを言葉にする力、そして将来を考える意識。すべてをアピールできるチャンスです。しっかり準備していきましょう!

過去の年度はこちら

問題の構成とねらい

この作文は、大学の入学式で「自由な服装」が許されているにもかかわらず、ほとんどの学生が黒や紺のスーツを着用しているという現象をもとに出題されています。
これはただのファッションの話ではなく、「集団の中でのあり方」や「若者の意識」に関わる社会的な問題提起なのです。


課題の内容を分解すると、書くべきポイントは3つあります。

① 「黒一色の入学式」に見られる問題や課題とは何か?

  • なぜ自由なのに黒を選ぶのか?
  • 個性を出しにくい雰囲気、周囲への同調圧力、空気を読む文化、などが考えられます。

② その問題について、自分の意見を述べ、別の具体例を1つ挙げる

  • 実際に見聞きした経験やニュース、学校生活の中の例を出して、「似たようなことが他にもある」と考える力が試されます。

③ その上で、自分はこれからどのような生活を送り、どんな力をつけたいか?

  • ただ問題を指摘するだけでなく、「だから自分はこうしたい」と将来のビジョンを持てるかどうかが問われます。

高校側のねらい

この課題を通して、江戸川高校が見ているのは以下のような力です。

  • 社会現象を自分の視点で考える力(問題発見力・分析力)
  • 自分の体験や見聞から意見をつくる力(思考の具体性)
  • その意見を自分の将来の行動につなげる力(目的意識・計画性)

つまり、「社会をどう見て、自分はどう生きたいのか」を一つのテーマから広げて書くことができるかを評価される作文です。

作文で求められる3つの力

江戸川高校のこの作文では、社会の現象に対して自分の視点を持ち、それを未来の行動につなげることが求められています。
その中でも、特に重要な3つの力があります。


① 社会の課題に気づく力(観察力・問題意識)

「黒一色の入学式」という現象から、なぜそれが問題視されているのか、背景や本質を考える力が求められます。

たとえば…

  • なぜみんな同じ服を着たのか?自由なのに?
  • 本当に「自分らしさ」が大事にされている社会なのか?

このように、表面だけでなく、奥にある意識や社会の仕組みに目を向ける姿勢が大切です。


② 自分の意見を具体例と結びつける力(説得力)

自分の意見を言うときは、「私はこう思います」だけでは弱いです。
実際に見聞きしたことや経験したことを例に挙げて、自分の考えを裏付けると説得力が増します。

たとえば…

  • 学校の制服の話、部活動での雰囲気、ニュースで見た社会の話題 など

これにより、「意見」ではなく「実感を伴った意見」に変わります。


③ 問題意識を未来の行動につなげる力(計画性・意欲)

この作文の最後では、「自分はどのように生きていきたいか」「どんな力をつけたいか」を書くことが求められています。

  • 自分らしさを大切にして行動する力
  • 周囲に流されずに意見を持つ力
  • 多様性を認めて人と関わる力 など

社会の問題を自分ごととしてとらえ、それを人生の目標につなげる視点が大きな評価ポイントになります。

構成のポイントと書き方の流れ

江戸川高校の推薦入試作文は、社会的な話題 → 自分の意見と体験 → 将来の目標という、3段階の思考が求められる難度の高い作文です。
このような複雑なテーマは、構成をしっかり決めてから書くことが成功のカギです。


おすすめの4段構成

① 導入:問題の提示と背景(100〜120字)

まずは、「黒一色の入学式」という現象を簡潔に紹介し、それがなぜ問題視されているのかを説明します。


「大学の入学式では自由な服装が許されているにもかかわらず、ほとんどの学生が黒や紺のスーツを着ている。これは自由の中で個性が出しづらい現代の風潮を表していると思う。」


② 本文①:自分の意見と理由(150〜200字)

次に、その現象に対して自分はどう思うか、そしてなぜそう思うのかを具体的に述べます。


「私はこの状況に、まわりに合わせなければいけないという同調圧力を感じる。個性や自由が大切だと学校では教わるが、現実では浮くことを恐れてしまう空気があるように思う。」


③ 本文②:具体例(体験・見聞)との関連づけ(150〜200字)

自分の考えに近い例を、実際の体験や見聞きしたことから1つ紹介して、意見に説得力を持たせます。


「私の中学校でも文化祭で自由な服装が認められていたが、結局ほとんどの人が同じような服装だった。目立ちすぎないようにする空気が、無意識のうちに広がっていたのかもしれない。」


④ まとめ:自分の生き方・これからの意欲(120〜150字)

最後は、自分がこれからどういう生活を送りたいか、どんな力を身につけたいかを前向きに具体的に書きます。


「私はこれから、まわりに合わせるだけでなく、自分の意見や価値観を持って行動できる人になりたい。そのために、多様な人の考えを理解し、自分の考えも大切にする力を身につけたい。」


構成まとめ表

パート内容目安字数
導入問題の提示と背景100〜120字
本文①自分の意見と理由150〜200字
本文②具体例(体験・見聞)150〜200字
まとめ今後の生活・身につけたい力120〜150字

この構成で書けば、社会への関心・自分の考え・将来への意欲をバランスよく伝えられます。

実際の作文例

 大学の入学式では自由な服装が認められているにもかかわらず、ほとんどの学生が黒や紺のスーツを着ていて、会場が黒一色に見えることがあるそうです。この状況は、一人ひとりが自由に服を選べるはずなのに、実際には「まわりと同じ」であることを重視する空気が強く働いていることを表していると思います。
 私はこの現象に、若者の「自分らしさを出すことへの不安」が現れていると感じました。自由とは本来、自分で考えて選ぶことですが、目立つことで浮いたり批判されたりするのを恐れ、多くの人が無難な選択をしてしまうのではないでしょうか。このような空気が強くなると、自由に見えて実は「見えないルール」が存在しているようにも思えます。
 実際、私の学校でも似たようなことを感じた経験があります。中学の文化祭では、自由な服装が許されていましたが、ほとんどの生徒が黒や白などのシンプルな服を選びました。周囲と違う服を着ていた生徒は、「目立ちすぎじゃない?」と軽く言われていたことがあり、個性を出すことがむずかしい雰囲気を感じたことを覚えています。こうした経験からも、「自由」があっても、実際にはそれを使いこなせない空気があると実感しました。
 私はこれから、自分の意見や価値観を大切にしながら、他人の考えも尊重できる人になりたいと思います。まわりに流されず、自分らしく生きるには勇気も必要ですが、その力を少しずつ育てていきたいです。そして、さまざまな考え方や価値観にふれながら、多様性の中で自分の軸を持てる人を目指していきます。(648文字)

まとめ|自分の考えを持ち、行動できる力をアピールしよう!

江戸川高校の推薦入試作文では、「黒一色の入学式」という一見ささいな出来事から、社会の空気・個性・自由といった深いテーマを考えさせる内容が出題されました。

この課題で求められているのは、ただ現象を説明するのではなく、

  • なぜそれが問題なのかを自分の視点でとらえ、
  • 自分の経験と結びつけて意見を述べ、
  • さらに将来、自分がどう行動していきたいかまで考える

という、深く考えて書く力です。

このような作文では、「何を書いたか」だけでなく、「どう書いたか」が評価されます。
だからこそ、具体的な例や体験を盛り込み、自分の言葉で丁寧に書くことが大切です。

社会の空気に流されすぎず、でも他人を排除せず、自分の考えを持って行動できる人間になること。
この作文は、その第一歩として、自分のあり方と向き合う良い機会になります。

あなたの思いや意見を、しっかりと言葉にして伝えていきましょう!

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